屋形船ってどんなもの?発展の歴史と最新事情にせまる!

2016.12.16

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古くから江戸の町で親しまれてきた屋形船ですが、その歴史は順風満帆ではありませんでした。
屋形船はどのようにして生まれたのか?どんな困難を乗り越えて今にいたるのか?
屋形船の「昔と今」にスポットライトを当てて、ご紹介したいと思います。

1 屋形船の原形は万葉集にも登場

日本最古の歌集である『万葉集』で詠まれている「舟遊び」が、屋形船の原形となります。
平安時代には貴族が船の上で宴会をしたり、景色を眺めたりするなど、現在の屋形船と同じような使い方をしていたと言われています。

私たちが屋形船でお酒を飲みながら景色を見ることを「粋」だと感じるように、昔の人々もまた、同じように「粋」であると感じていたのですね。

「屋形船」と呼ばれるようになった理由は諸説あります。その一説として、寝殿造の屋敷にすむ貴族のことを「お館様」と呼んでおり、そのお館様が乗る船ということで、転じて「屋形船」と呼ばれるようになったという説があります。

2 豪華な屋形船が流行った江戸時代

江戸時代に入ると、屋形船人気はこれまでにない盛り上がりを見せます。
河川が整備されたことと、武士や大名が自分の所有する船の豪華さを競うようになったことが影響しています。
また、経済的に発展を遂げた時期でもあったため、貴族だけではなく一般庶民が娯楽として屋形船を利用する様子が、浮世絵にも描かれています。

しかしお金持ちが船の豪華さを競ったことにより、華美すぎる装飾が屋形船に施されるようになっていきました。大きさ的にもかなり大きな船が作られるようになったため、幕府から大船禁止令が出され、豪華絢爛な船は姿を消していくこととなります。

3 戦争や水質汚染により屋形船低迷期へ

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豪華な船が消えても、質素な屋形船の人気は続きました。しかし戦争が開始されると、当然のことながら「風流な遊び」である屋形船を利用する人は少なくなっていきます。

さらに追い打ちをかけるように、その後の高度経済成長による河川の水質汚染や、河川護岸工事によって水上からの景色が楽しめなくなってしまうなど、屋形船にとって厳しい時代が訪れます。
これらの要因によって、江戸の町から屋形船の姿が消えてしまうこととなるのです

4 戻ってきた屋形船~水質改善とバブル景気~

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屋形船が再び注目されるようになったのは、1980年代のことです。環境への配慮がなされるようになり、水質が改善されたことと、バブル景気により屋形船のエンターテインメント性が注目されたことによるものです。

この頃から、カラオケやエアコンを完備した快適な屋形船が登場します。こうして屋形船の姿が再び江戸の河川に現れるようになり、現在でも多くの人に親しまれているのです.

5 現在の屋形船の楽しみ方

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東京では、隅田川や荒川のような大きな河川を屋形船が走っています。東京スカイツリーやお台場レインボーブリッジ、東京タワーなどの東京の名所を水上から優雅に眺める体験は、観光客のみならず地元の人にとっても非日常的なものです。

春には桜を眺めたり、夏には花火大会を楽しんだりといった用途にも使われています。特に隅田川の花火大会の時には、提灯に明かりを灯した風情ある屋形船の姿が多くみられます。

最近ではエアコンやカラオケ、DVDデッキなども完備されており、水上で非日常的な宴会を楽しむのに最適な空間なのです。

まとめ

こうして歴史を見てみると、屋形船は伝統的な日本の遊びであることがわかりますよね。
時代の波に流されて浮き沈みはありましたが、昔も今も多くの人々に親しまれる文化なのです。

季節の乗りどころ

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